こんにちは、ギター講師の神田です。
今回は先日公開した動画『コードトーンでギターソロはメロディアスになる!TUBEの名曲『夏を抱きしめて』のギターソロ弾いてみた!』についてまとめてみたいと思います!
まずは動画をご覧ください。
『夏を抱きしめて』について
1994年5月11日にリリースされたTUBEの18枚目のシングル曲
デビュー10周年の年にリリースされたこの曲はTUBE唯一のミリオンヒット曲であり、トヨタ自動車の『カローラセレス』CMソングとしても使用された。
『夏を抱きしめて』を聴いてみる
『夏を抱きしめて』を分析してみる
コード進行を分析してみる
早速コード進行から分析していこう!
はい!
まず上の楽譜の1段目と2~3段目で転調してるのがわかるかな?
確かに調号が変わってますね!
今回の動画ではギターソロ部分だけしか演奏していないけど、この曲の全体的な曲のKeyはKey=F#メジャーなんだ!
そしてギターソロ部分に入ったらKey=Aメジャーに転調して、ギターソロが終わったら再びKey=F#メジャーに戻るようになっている。
転調が激しいですね!
そうだね!
今回のコード進行はダイアトニックコード以外のコードもたくさん出てくる。
とても参考になるから少しずつみていこう!
はい!
まず1段目!1~2小節目の『B-C#』はKey=F#の『Ⅳ-Ⅴ』
これはダイアトニックコードだから問題ないね。
そうですね!
そして次の3~4小節目のD-Eがひとつ目のポイントだ!
まずこれはKey=F#のダイアトニックコードじゃないのはわかるかな?
そうですよね…
どうして突然でてきたんでしょうか?
ここでみてもらいたいのが2段目でKey=Aに転調しているところ!
『D-E』というのはKey=Aで見ると『Ⅳ-Ⅴ』になる。
『Ⅳ-Ⅴ-Ⅰ』はスムーズなコード進行の代名詞といっていい程よくでてくるコード進行だね。
確かに!
つまり1段目の『D-E』があることによって、2段目のAへスムーズに進行することができるんだ!
なるほど!
調号は2段目から変わっているけど、1段目の3小節目からKey=Aに転調していると捉えることもできるね!
なるほどです!
次のポイントは2段目の3小節目にある『B/D#』だけど、これはセカンダリードミナントだね!
ベースも『D#』という3rdベースになっているから、次のコードのEに半音で進行できる!
はい!
同じ考え方で、3段目1小節目の『C#/F』も説明できるね!
そうですね!
そして最後の『B/D#-C#』は1段目の3~4小節目と同じ考え方だね。
楽譜には書かれていないけど、この後は転調してKey=F#に戻るから、F#に向かうための『Ⅳ-Ⅴ』だ!
スムーズにKeyが転調して歌に戻っていきますね!
そうだね!
そして今回のように短3度の転調はとても頻繁にでてくる転調の定番だから覚えておくといい!
なんで短3度が定番なんですか?
半音上がるとかならわかるんですけど…
今回の例だとKey=F#メジャーからKey=Aメジャーへ転調、そして再びKey=F#メジャーに転調して戻るわけだけど、Key=Aメジャーの平行調はなにかわかるかな?
Key=Aメジャーの平行調はKey=F#マイナーです。
そうだね!
そしてそのKey=F#マイナーはKey=F#メジャーと同主調の関係になる。
これでKey=F#メジャーとKey=Aメジャーが全然関係ないKeyではないことがわかったんじゃないかな?
あっ…
あまり難しく理由を考える必要はないけど、短3度の転調はとても使い勝手のいいテクニックだから覚えておこう!
はい!
演奏内容を分析してみる
次に演奏内容を見ていこう!
はい!
サウンドメイクについて
今回も音作りは基本的にBOSSのGT-100を使用して、ディレイとリバーブだけはDTMのプラグインでかけています。
アンプタイプ:R-FIRE MODERN
モダンハイゲインサウンドの定番アンプ『Mesa/Boogie Dual Rectifier』のモデリングアンプです。
フレーズについて
今回のフレーズのポイントはなんといってもコードトーンだね!
コードトーン?
今回のギターソロを分析してみると『ほとんどコードトーンを弾いている!』といっても過言ではないくらい、コードトーンが多用されていたんだ!
コードトーンにはどんなメリットがあるんですか?
『曲の進行に沿ったギターソロを弾ける』ことかな!
そしてコードの流れに沿ってるからメロディアスに聴こえやすい。
いいことだらけじゃないですか!
もはや全部コードトーンにしたらいいのでは⁉︎
もちろんそれでもダメじゃないけど、リズムだったり音の並び方をかなり工夫しないと音楽として成り立たないかもね!
残念…
理論とか理屈だけで攻略できないのが音楽の難しさだし、面白さだよ!
はい…
話を戻すけど今回のギターソロでコードトーンを表すとこうになる!
(コードトーンを赤く表示してます)
真っ赤!
それだけ今回はコードトーンを多用されているんだ。
詳細を見ていこう!
はい
まずは1~3小節目だけど、この動きはメジャー系のコードだったら基本的にいつでも使える便利なフレーズだ。
あのJimi Hendrixも多用しているし、本当に多くのギタリストが使っている常套フレーズだね。
覚えておきます。
4小節目はAメジャースケールをそのまま駆け上がっていくフレーズ。
1つの弦で3つずつ音を弾くスリーノート・パーストリングのポジションを使用している。
ボックスポジションよりもスリーノート・パーストリングのほうがいいんですか?
ボックスポジションだと1つの弦で3音弾く弦と2音弾く弦が混在するよね。
スリーノート・パーストリングは全ての弦で1つの弦で3音弾くを固定してるから、規則的なフィンガリングやピッキングでスケールを弾くことができるんだ。
Paul Gilbertをはじめ、多くの速弾き系ギタリストが多用するフィンガリングだね。
なるほど!
次の5小節目はAMaj7のコードトーンアルペジオの駆け上がりフレーズ。
譜面に書かれているコードはAだけど、AはKey=AのⅠ(Maj7)だから4和音にするとAMaj7になる。
ふむふむ!
そしてそのフレーズの流れで6小節目の3拍目にDのMaj3rdに着地しているね。
なるほど!
7~8小節目はコードが違うけど、考え方は同じだ!
はい!
こういった感じで何か1つ型を作って、その時のコードに適用させていくとフレーズに統一感が出てソロがまとまりやすくなる!
モチーフを発展させていくってやつですね!
そうだね!9小節目はうって変わってスケールを弾いている。
C#はセカンダリードミナントだからAメジャースケールは使えない。
ここではコードに合わせて『C#ハーモニックマイナー・パーフェクト5thビロウ』というF#ハーモニックマイナースケールの展開系のスケールを使用しているのがポイント!
はぁ…
そして最後11~12小節目はまた5~6小節目と同じアイディアだ!
なるほど!
演奏のポイントについて
今回の演奏で気をつけたいのはコードトーンアルペジオの時の弦移動だ!
弦移動?
そう!コードトーンアルペジオはスケールを弾く時と比べると弦移動が多くなる。
その時のミスピッキングやミュートに気をつけないと、ノイズだらけの演奏になってしまうから気をつけよう!
難しいです…
そうだよね。
こういう弦移動が多いフレーズはオルタネイトピッキングで弾くのが難しいことがある。
そういう時は無理にオルタネイトピッキングにこだわるのではなくて、エコノミーピッキングに切り替えるといい!
エコノミーピッキングって何ですか?
オルタネイトピッキングはダウンピッキングと、アップピッキングを規則正しく繰り返すピッキング方法だよね
そうですよね⁉︎
それに対してエコノミーピッキングは、弦移動の際にダウンピッキングやアップピッキング連続させることによって、オルタネイトピッキングよりスムーズな弦移動が行えるように考えられているピッキング方法なんだ!
どっちのピッキングがいいんですか?
どっちがいいのではなくて使い分けるのがベスト!
それはフレーズだったり、テンポだったり、出したいサウンドだったり色々な要素で判断する必要がある!
それぞれどういう特徴があるんですか?
それぞれの特徴をザッとまとめるとこんな感じ!
・規則正しい動きでリズムキープ、ノリを出しやすい
・アタックが強くなりやすい
・弦移動の多いフレーズは苦手
・ラン奏法など繰り返し系フレーズでは『インサイドピッキング』と『アウトサイドピッキング』が入れ替わり弾きにくいことも
・スウィープのような弦移動が多い早いフレーズでも弾きやすい
・なめらかな流れるようなピッキングができる
・不規則な動きになる為、スローテンポではリズムキープが難しい場面も
・ラン奏法など繰り返し系フレーズでも同じピッキングパターンで引ける可能性が高い
結構違いがあるんですね⁉︎
そうだね!
今回はわかりやすくするために意図的に対比的なまとめ方をしているけど、両方をマスターできるとそれぞれの弱点を補い合うことができる!
頑張って練習します!
使用機材について
ギター
FENDER USA/American Vintage 57 Stratocaster
1957年仕様のストラトキャスターを忠実に再現したAmerican Vintage Series
ピックアップセレクターを3点のものから5点のものへ変更し、ミニスイッチを設置することでリアピックアップとフロントピックアップのミックスも出力できるように改造してあります!
エフェクター
BOSS:GT-100
最新モデルのGT-1000が発売されていますが、まだまだ現役で使えます!
僕は自宅練習を始め、ライブやレコーディングすべてこれ1台で完結できており、5年以上使用していますがトラブルが起きたこともない頼れる1台です!
オーディオインターフェイス
TASCAM:US 4×4
シンプルな操作性と豊富な入出力でとても使いやすいと思います。
iOSとの接続も可能なため、お使いのiPadなどとも接続して使用可能です!
【プロフィール】
神田 淳
1988年生まれ。埼玉県秩父市出身。
10歳よりギターを始め、高校卒業後 MI JAPAN GITに進学。
現在は主にギター講師として活動中!
『一人一人に寄り添ったレッスン』を心が得ています!
初心者の方も大歓迎ですので、お気軽にご連絡ください!
【お問い合わせはこちらから!】
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定期的にバンドサークルも主催!
全パートメンバー募集中なので、お気軽にお問い合わせください!
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